1.一般質問
④参画と協働について
質問者:中野郁吾
最後の質問は、知事の基本姿勢でもあります参画と協働についてお尋ねします。
 平成28年3月に策定されました参画と協働の推進方策の基本的な考え方の中で、本格的な少子・高齢化、人口減少が進展し、地域社会を取り巻く課題が多様化・複雑化する中、多様な地域に多彩な文化と暮らしを築く美しい兵庫を実現するためには、県民一人ひとり、地域団体、ボランティアグループ、NPO、事業者等が、地域社会の構成員としての自覚と責任を持ち、主体的に地域について考え、連携・協力しながら、課題解決に取り組んでいく参画と協働が、これまでにも増して重要となっています。これは現在、県が取り組んでいる地域創生を推進するにあたっても必要なことですとあります。
 私も人口減少や少子・高齢化、それに伴う税収や事業が縮小しながらも、地域の営みや住民の生活が充実したものになっていく仕組みを築き、地域創生をなし遂げるには、参画と協働が絶対に欠かすことができないものだと考えております。
 また、本県では、県民の参画と協働の推進に関する条例が平成15年に施行されています。そして、その条例の第3条で、県行政は、県民の積極的な参画及び県と県民との協働により、推進されなければならないとあり、続く第4条では、県民の役割として、県民は、前3条に定める参画と協働の基本理念に則り、地域社会の一員としての自覚と責任を持って、地域づくり活動に対する理解を深めるとともに、自らが県行政を推進するという自覚と責任を持って、県行政への積極的な参画と県行政の推進に係る県との協働に努めるものとするとあります。
 そして、これまで多くの県民の皆さんが参画と協働により県行政の推進に寄与されてきたことだと思います。
 一方で、気になる調査結果がありました。それは、第20回県民意識調査において、県行政への参画と協働等に関することについての、地域課題を解決するため、行政にどのような形で関わりたいと思いますかという問いに対し、27.3%の人が地域団体やボランティア団体などへの参加を通じて関わりたいや、14.7%の人が電話や手紙、ファクス、インターネットなどで意見を送りたいと答えています。しかし、最も多かったのは40.2%の人が、あまり関わりたくないと回答していたことです。
 仕事や家庭、プライベート等による日頃の忙しさ等によるものや、人とのつながりが希薄化してきていると言われる現代において、地域との関わりに対して煩わしさを感じる人も少なくないのかもしれません。
 また、参画となると企画から関わるということで、少しハードルが高く感じるのかもしれません。まずは、気軽に参加できるような機会を経て、楽しさを感じてもらい参画へとつなげるような取組が必要なのかもしれません。
 さらに、より多くの人が参加・参画することにより、多様な可能性を秘めた協働、多様なコラボレーションが生まれると考えます。一緒に何かをやりたいと多くの県民の皆さんに思ってもらえるような働きかけも今以上に必要であるとも考えます。
 そこで、地域創生を県民とともに本格的に推し進めようとする本県において、これまでの参画と協働の取組の評価と課題、そして、これを受け、どのような姿勢で参画と協働を進めようとされているのかお伺いいたします。
答弁者:井戸知事
参画と協働についてのお尋ねがありました。参画と協働の推進に向けては、県民の参画と協働の推進に関する条例に基づいて、地域の協働利益を増進するための地域づくり活動の推進と、県行政への積極的な参加の推進、この二つを条例で規定して、積極的な取組を期待をしているものでございます。
 地域づくり活動の推進については、活動に役立つ情報や、ノウハウの提供、活動拠点の確保、団体間の連携支援などに取り組んできました。活動団体の数は年々増加しておりまして、NPO法人でいいますと、平成19年の1,249が、平成28年、2,204に増えています。
 また、活動分野も多様化し、団体同士の連携も広がっております。他の団体等と連携・協働している団体は63%にも達しています。
 さらに、まちづくり協議会などの住民自治組織や、社会貢献活動に取り組む企業・大学など、新たな主体の参画が広がっています。特に、最近は若い人たち、大学生などの地域参加が目立ってきているという状況にあります。
 県行政への参画と協働については、まず挙げられるのが各地域におきますビジョン委員会の活動でございます。最初、ビジョン委員会の活動は、そうですね、1期、2期の活動は、どちらかというと県行政に対する要望活動中心だったわけでありますが、今や、完全に地域のために、自分たちが積極的にできることをなし遂げていこうというグループ活動に変わってきております。
 また、県民モニターや審議会委員等を公募させていただいておりますし、このように県政への多様な県民意見を取り組んでおります。
 また、道路とか河川等の管理を行うひょうごアドプトシステムなどの協働事業を実施するとか、企業との協定締結も広がっています。特に、緑の関係での協定の締結が広がっています。
 一方で、今後の課題としては、ご指摘もありましたが、分野・テーマによっては、専門性が高くて、技術的に特化した、例えばインフラ整備方針など、県民の関心を集めにくいものもありますので、県民の関心を高めて活動に参加する人材を確保すること、そして確保した多様な人材が活動しやすい環境づくりを進めること、これらが課題かと思われます。
 ご指摘の、あまり関わりたくないとされる県民が増えているのではないかという点でありますけれども、やはり県政とか、市町村行政が遠い存在と受け止められているから、そのような反応になっているのではないかと考えられますので、もっともっと情報提供が必要なのではないかと思います。
 このために、県民の関心を高められるよう、SNS等の拡散性や双方向性の高い手段を活用していくことが必要で、これにより県政情報や地域づくり活動情報を分かりやすく情報発信していくことが肝要ではないかと思っています。
 また、参加意欲はあるが時間がない人には、例えば、いわゆる、ちょボラ、イベントスタッフなど、短時間でも可能なボランティア活動、あるいはプロボラ、職業経験等を生かしたボランティア活動など、若者や女性やシニアなどが得意分野を生かしながら、短時間で参加できるような活動のあり方も紹介することによって、活動しやすさを作り上げていくなどによりまして、参加しやすい環境整備を進めてまいります。
 このような取組によって、より多くの県民の参画と協働を得ながら、活力ある兵庫づくりを進めてまいります。特に、人口減少下であるからこそ、県民の一人ひとりの積極的な参画と協働が不可欠ではないか、このように考えますし、期待をさせていただいております。