1.一般質問
①人口対策について
(2)子育てシフトについて
質問者:中野郁吾
同じ項の二つ目の質問は、子育てシフトについてです。
 隣県の岡山県奈義町では、平成26年の出生率が2.81と全国トップとなりました。出生率のトップクラスには島嶼部が占めている中での偉業を達成しております。その奈義町ですが、平成24年に子育て応援宣言を行い、保育料を安くし、出産祝い金も出し、医療費が18歳まで無料で、予防接種も町が負担し、子育て世帯向けの戸建ての町営住宅を整備するなど子育て向けの支援に力を入れ、行政・議会・住民が一体となり財源確保に努め、取組を行っています。奈義町の担当課に問い合わせてみますと、その後の平成28年の出生率は1.85と少し落ち込みましたが、更に取組を進めたことにより、今年は2を超えるだろうとのことです。それ以前の奈義町は、高齢者を重視した施策に圧倒的に財源を充てていたとのことですが、若い世代と高齢者の対立という構図を避け、合意形成を図りながら、子育て支援へとシフトしていったようです。もちろん高齢化社会において起こり得る課題を解決するための取組を行うことも欠かすことはできませんが、それを支える世代がいなくなったり、活気を失えばその取組を行ったり、維持することも困難になります。
 子育てシフトという言葉は京都大学准教授で社会学者の柴田悠氏が、日本社会全体を子育てを支援する社会へ変化させていくことが急務であり、さまざまな統計分析から、持続可能性ある社会にしていくためには子育て支援をするしかないと提唱することから名づけられ、また、公共事業に追加予算を投入したときの経済効果は最大で1.1倍で、法人税減税の経済効果は最大0.6倍に対し、保育などの子育て支援に追加予算を投じた場合の経済効果は2.3倍となる可能性があり、そして労働生産性の向上や、子供の貧困や自殺を減らし、さらには財政の改善にも効果があると主張しています。
 2060年には、本県人口も大幅に減少することが見込まれ、さらに現役世代と高齢世代の構成がアンバランスな状態になりながらも活力を維持し、豊かな兵庫を先の世代に引き継ぐためにも、将来を担う世代への重点的な支援を行うべきだと考えています。
 本県は平成22年に知事による子育て応援宣言を行っています。その宣言どおり、日本の縮図と言われる本県から、子育てシフトにより人口減少社会を乗り越え、全国へ、さらには世界のモデルとなるような大胆な取組を展開していくべきであると考えますが、ご所見をお伺いします。
答弁者:福祉部長
子育てシフトについてでございます。
 本県では、平成27年3月に策定いたしましたひょうご子ども・子育て未来プランのもと、多岐にわたる総合的な対策を実施しております。
 中でも、全国に先駆けました出会い・結婚支援といたしまして、ひょうご出会いサポートセンター事業、子育て支援といたしまして、ひょうご保育料軽減事業や、全国トップクラスの水準である乳幼児・こども医療費助成事業など、県独自の事業に積極的に取り組んでいるところでございます。
 少子対策の予算は、これに伴いまして子育て応援宣言を行いました直後の平成22年度から平成29年度にかけ、818億円から1,094億円へと、約34%も増加しているところでございます。
 こうした取組の結果、未来プランの数値目標でございます合計特殊出生率につきましては、平成28年は前年に比べ0.01ポイント増加の1.49となりまして、近畿2府4県では唯一上昇したところでございます。
 国においても、ニッポン一億総活躍プランのもと、子育て支援や介護をしながら仕事を続けられる社会保障基盤を強化し、少子・高齢化の流れに歯止めを掛け、誰もが生きがいを感じられる社会を創造することを基本的な考えとして必要な施策を講じているところでございます。
 県といたしましても、医療、介護、子育て支援等の各施策のバランスに十分考慮しつつも、待機児童解消対策や若者の安定的な雇用・就業につながる取組を更に強化すること等によりまして、将来を担う世代を支援してまいります。
 少子対策は、未来の兵庫のあるべき姿を決める重要な対策でもあることから、引き続き先駆的な施策等に取り組んでまいります。以上でございます。
質問者:中野郁吾
「にっぽん子育て応援団」というところで、自治体の首長の子育て応援宣言の紹介がなされていまして、そこで、知事は子育て家庭を全力で応援しますとおっしゃっておられますので、引き続き、更なる全力での取組をよろしくお願いいたします。