1.一般質問
④高齢者のインターネット利用による消費者トラブルについて
質問者:中野郁吾
続いて、高齢者のインターネット利用による消費者トラブルについてお伺いいたします。
 総務省の調査では、平成27年末現在、国民の半数以上がスマートフォンを保有し、インターネットの利用率は83%に達するなど、ネットが身近な存在になり、日常生活を非常に便利にさせ、その中でもインターネット通販サイトの利便性は非常に高く、簡単に欲しい物や気に入った物を見つけ、商品を比較し購入することができ、また、都市部と離れていても翌日には注文した商品が届くこともあり、一度利用すれば、再び利用したくなるのは当然のことと考えます。
 しかし、利便性が高いということと、安心して利用ができるということは、必ずしもイコールではなく、県民の消費生活の多様化は、消費者トラブルを複雑多様化させています。
 県内の消費生活相談窓口で受け付けた平成27年度の消費生活相談件数は4万9,428件で、3年連続して5万件前後で高止まりしている状況にあります。70歳代までの各年代とも最多なのは、インターネット情報サービスに関わる相談で、高齢者の相談も増加傾向にあります。また、この相談は、全体の17.7%を占めるとともに、実際にお金を支払った人の平均支払額は、過去3年間での最高額となる59.1万円となるなど、インターネット情報サービスに関連するトラブルは、深刻化しつつあります。
 また、このインターネット情報サービストラブルの中でも、アダルト情報サイト等から一方的に料金を請求されるワンクリック請求が大半を占め、スマホを利用したアダルト情報サイトでのトラブルは悪質業者の手口が、画像や音、バイブレーション機能を巧みに使用し、不安をあおるなど巧妙化し、また高齢者にとって、アダルト詐欺サイトにひっかかったことが恥ずかしく、子供や孫、配偶者に「いい年をして」などと言われることが嫌で、トラブルに巻き込まれた後、誰にも相談できず、また深みにはまってしまうとのことです。
 経済発展、景気の上向きには、消費生活の活性化が必要不可欠でありますが、そのためには安全で安心な消費生活を確保することが重要です。特に深刻化している高齢者によるインターネットトラブルは、早急に解決すべき喫緊の課題でありながら、サイバー空間のため悪質業者の取り締まりは困難な点も多いと思われます。
 そこで、最近の消費者トラブル、特にアダルトサイトなどのインターネットに関する消費者トラブルから高齢者の被害を防止するためどのような対策を講じていくのか、当局の取組についてお伺いいたします。
答弁者:政策創生部長
高齢者のインターネット利用による消費者トラブルについてです。
 近年、スマートフォンやパソコンの高齢者層への普及等に伴い、インターネット利用に関する高齢者の消費トラブルが増加しております。高齢者はスマートフォンの操作やネットトラブルへの対応に不慣れなことが多く、被害に遭いやすいことに加えて、被害に遭った場合にも、身近に相談する相手がいなかったり、被害を隠そうとする場合があることなどから、被害が深刻化、潜在化する傾向があります。
 こうした特性を有する高齢者の被害の未然防止、拡大防止のためには、相談・救済体制の充実を図ることはもとより、高齢者自らがインターネット上のリスクやトラブルに関する知識や対応を学び、自らを守る力を高めていく必要があります。
 このため、一人ひとりの高齢者に対し、きめ細かく情報を届け、効果的な注意喚起、啓発を行うことが重要であり、県としても、こうした観点からの対策に取り組んでいます。
 具体的には、街頭啓発キャンペーンや各種大会等におけるチラシの配布等の一般的な普及啓発事業に加えて、特に高齢者の被害防止を図るため、生活協同組合の宅配時や携帯電話各社店舗への来店時における啓発リーフレットの配布、自治会や老人会のリーダー等を対象とした出前講座の実施、くらしの安全・安心推進員や防犯グループなどによる高齢者への声掛けなど、きめ細かな意識啓発、注意喚起に重点的に取り組んでいるところです。
 今後は、高齢者の消費者被害の事例集を作成するとともに、悪質な事業者の手口について、映像や漫画等により分かりやすく解説するなど、高齢者の特性に応じ、新たな手法による啓発、情報提供にも取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
質問者:中野郁吾
高齢者のトラブルは、答弁にありましたように、周知啓発、どんどん進めてもらっていくと同時に、家庭内とかご家族が、ネットの危険性は常にあるよということで、常日頃から声を掛け合えるような家庭環境づくりというか、そういったことも進めていかなくてはならないと思いますので、家庭を含んだようなことも取り入れながらの取組みを、お願いしたいと思います。