1.一般質問
②子育て環境の整備について
(2)地域祖父母モデル事業の本格実施に向けたシニア世代の人材確保について
質問者:中野郁吾
続いて、地域祖父母モデル事業の本格実施に向けたシニア世代の人材確保についてお伺いします。
 本県では、少子化対策として、出会いから出産まで切れ目のない支援をするために、さまざまな施策展開がされています。中でも、誰もが安心して子供を産み育てられる社会の実現に向け、子ども・子育て支援として、保育環境の整備と保育人材の確保対策、病児・病後児保育対策、多子世帯に対する支援として、国の低所得層の第2・第3子以降の保育料支援に加え、国の対象外となる中間所得層までの支援を本県独自で行うなど、先進的な事業に取り組まれています。
 そして、地域ぐるみで子育てができる環境の整備に取り組むことが求められる中で、今後、一層増加が見込まれるシニア世代が、子育て支援に積極的に関わることができる仕組みづくりが有効であると思われます。特に都市部を中心とする三世代同居率が低いエリアにおいては、日常的な子供の見守りや、子育ての相談や協力、緊急時の手伝いなどに、祖父母がすぐに対応することが困難な状況です。
 そのような子育ての負担増加が問題となる中、本県では、定年退職をしたような地域のシニア世帯が祖父母に成り代わり、三世代近居の関係を作る地域祖父母モデル事業が本年から実施されています。
 この事業は、保育所等の急な送り迎えや、親が帰ってくるまでの一時預かりや見守り、昔遊びや宿題や学習支援、さらにはシニア世帯と子育て世帯が一緒にお出掛けをしたりするなど、まさにおじいちゃん、おばあちゃんの関係を人為的に作り、いざというときに地域全体で助け合い、安心して子育てができる環境を作るものです。そのための会員登録や、シニア世代向けの研修や交流事業等を保育所や子育て支援団体などの各実施団体が行っています。
 しかしながら、本当に安心した子育て環境を構築するには、子育てに関わりたいシニア世帯と、支援を受けたい子育て世帯をただマッチングするだけではお互いに安心感は生まれませんので、継続的な交流事業や、研修の積み重ねが必要です。また、シニア世帯も自身の孫の面倒を見ることとは勝手が違います。そういった課題が考えられる中で、本事業が大きな期待を寄せられ、モデル事業から更に本格実施に移行することとなれば、より一層の人材確保をしなくてはなりません。
 一方で、三世代同居率の低い神戸や阪神間には阪神シニアカレッジがあり、また、東播磨にはいなみ野学園があり、それらの高齢者大学では福祉や地域社会貢献などの授業もあり、それらを学ぶことにより地域貢献への意欲を増していく方も大勢おられます。
 また、現在、両高齢者大学では、現役生や卒業生による地域づくり活動を推進するため、地域活動支援センターを開設し、子育て支援などの分野でグループ登録や地域活動へのマッチングを行っているとのことです。地域祖父母モデル事業の実施団体が、この地域活動支援センターに登録された子育て支援グループの会員である現役生や卒業生を活用することにより、人材確保を図りやすくなるとともに、マッチングを図るときにおいても、安心感を与えやすくなるかと考えます。
 このように、今後、地域活動に積極的なシニア世代に活躍してもらうためにも、地域祖父母モデル事業と、阪神シニアカレッジ等の高齢者大学との連携を図ることで、人材確保と信頼構築に有効だと考えますが、地域祖父母モデル事業におけるシニア世代の人材確保について、施策展開の方向や課題と合わせて、当局のご所見をお伺いいたします。
答弁者:井戸知事
私からは、地域祖父母モデル事業についてお答えをしたいと思います。
核家族化が進み、子育て家庭が地域から孤立しがちとなっています。地域ぐるみで子育てができる環境の整備が必要となる背景です。このため今年度から、新たに地域祖父母モデル事業を実施し、シニア世帯と子育て世帯を結び付けて、疑似祖父母との三世代近居の関係づくりに取り組んでいます。
 具体的には、子育て支援団体等を実施主体として、神戸・阪神間を中心に40地区において、ふれあい交流事業等を通して顔が見える関係を築き、一時預かりや見守りなど、地域祖父母がいざというときに子育て世帯の支援を行うことができる仕組みづくりをモデル事業として行おうとするものです。
 今後、事業を発展させていくためには、特に積極的に子育て支援に関わるシニア世代の人材確保が重要な課題です。
 現在、幼稚園や保育所、まちの子育て広場などで、昔遊びや絵本の読み聞かせなど、子育て支援に参画しているシニア世代のボランティアの方々は、この事業の担い手となっていただくことが期待されています。
 このため、このような方々にシニア世帯と子育て世帯が交流を深める場に積極的に参加していただき、本格実施に向けて人材確保を図ってまいります。
 加えて、ご指摘がありました高齢者大学である阪神シニアカレッジやいなみ野学園に設置している地域活動支援センターを活用して、子育て支援などに意欲のある学生や卒業生に対しても積極的に事業への参画を促してまいります。
 今後とも来年度の本格実施に向けて、幅広いシニア世代の参画を促し、地域全体で安心して子育てできる環境づくり、そのための地域祖父母モデル事業が本格実施できるような状況をぜひ作っていきたいと考えておりますので、これからもよろしくご支援をお願いしたいと存じます。
質問者:中野郁吾
再質問ですけれども、地域祖父母モデル事業、私、子育て世代ですので、これ大変期待しているところですが、先ほど前向きなご答弁をいただいたので、もう一つちょっと踏み込んでお伺いしたいと思うんですけれども。シニアカレッジ等でさまざまなカリキュラムがある中で、福祉のことであるとか学ぶと思うんですけれども、こういった先を見越して、そのカリキュラムの中に子育てというか、孫育ての知識であるとか、そういったものを取り組むようなことができないかというのをお伺いしたいんですけれどもいかがですか。
答弁者:井戸知事
せっかくの提案ですから、いなみ野学園と阪神シニアカレッジの方に検討をお願いしたいと思いますが、カリキュラムの中に取り入れることも一つですけれども、実践活動を授業の一環としてやっていますので、そのような実践活動のフィールドとして試みてもらうというようなことも考えられるのではないかというふうに思います。
 このような取扱については、二つの学園と相談するのもそうですが、ベテランの子育て支援のNPOの皆さんとも協議をしながら進められるかどうか、十分相談をしていきたいと思っております。