6.総括審査
➈確かな学力の育成について
質問者:中野郁吾
最後の質問に移る。
 確かな学力の育成についてである。
 本県では、第2期ひょうご教育創造プランに基づき、兵庫が育むこころ豊かで自立した人づくりの実現を目指し、取組を推進してきた。
 このプランの中には、自立して未来に挑戦する態度の育成、生きる力を育む教育の推進、子どもたちの学びを支える仕組みの確立、全ての県民が学ぶ生涯学習社会の形成の四つの基本方針が定められている。今回は、生きる力を育む教育の推進の基本方針に示される基本方向のうち、確かな学力の育成についてお伺いする。
 この基本方向では、全国学力・学習状況調査の結果等を踏まえた学力向上方策、各教科等におけることばの力の育成、科学技術の基礎となる理数教育等に取り組むとされている。
 この基本方向に従い、本県では、小中学校においては児童生徒の発達段階に応じた教育を進め、多様な能力や個性を伸ばすため、国の教職員定数改善等を最大限活用し、35人学級編制や柔軟な少人数学習集団の編成が行われている。
 特に小学校1から4年生では、基本的な学習習慣、生活習慣の定着に効果が高い35人学級編制を実施し、小学校5・6年生においては学力向上や中学校への円滑な接続を図るため、教科担任制と少人数学習集団の編成を組み合わせた「兵庫型教科担任制」を全県で実施されている。
 また、学力の確実な定着を図るため、全国学力・学習状況調査の結果等を踏まえた総合的な学力向上対策を推進するひょうご学力向上推進プロジェクトが実施されている。
 その他、ひょうごつまずきポイント指導事例集の作成や、スーパーティーチャー派遣事業が実施されている。
 高等学校では、進路希望等が共通する学校が連携し、合同研究授業や共通教材作成を行うとともに、アクティブ・ラーニングの視点から授業改善を行い、学力向上対策を推進するひょうご学力向上サポート事業が実施されている。
 その他、土曜日の有効活用モデル推進事業や、県立高校特色づくり推進事業インスパイア・ハイスクールを実施するなど、確かな学力の育成に取り組まれてきた。
 そこで、これらの取組の成果や課題を伺うとともに、確かな学力の育成に向けて、今後どのように取り組もうとされているのか、お伺いする。
答弁者:教育長
ご答弁の中で申し上げるべき数々の事業を全てご紹介いただいたので、結果だけを申し上げる。
 ご質問の紹介いただいたいろんな取組をした結果、小中学校では全国学力・学習状況調査のアンケート形式の質問紙調査というのがあるが、その中で、「授業の中で授業の目当てや狙いが示された」と回答した割合を、平成26年度と平成29年度で比較すると、小学6年生で約9ポイント、中学3年生で約26ポイント増加し、児童生徒の授業に集中する意識が高まっていると受け止めている。
 また、教科に関する調査では、調査開始当初の平成19年度と平成29年度の間で比較すると、全国の平均正答率との差は、小学校では、ほぼ変わらず平均並みの結果である。中学校では1、2ポイント改善が見られ、現在の水準は全国平均を数学を中心に若干上回る水準となっている。
 一方、同じ調査の中で、自分たちで課題解決に向けて話し合って発表する活動に取り組んだ、いわゆるアクティブ・ラーニングの形がとれていたという回答した割合は、小学生で約5ポイント、中学生で約9ポイント、全国平均をいまだ下回っている。
 主体的・対話的で深い学び、文科省が称している、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点による学習指導を今後更に充実していく必要があると感じている。
 それから、高等学校では、こうした全国調査がないので、時系列的に、あるいは他との比較がなかなか難しいが、ご紹介いただいた学力向上サポート事業では、教材作成の手法とか指導方法を共有しながら教材を作成し授業等で活用するということを通じ、教員の指導力、生徒の学力向上につながっているという報告を受けている。
 また、高大接続推進事業では、高校の生徒等が国立大学の教授などの指導による課題研究を通して最先端の科学や技術に触れるなど、世界で活躍する研究者等を目指す意欲の向上を図っており、一部の学校では全国の大会で文部科学大臣表彰を受けたという成果も上がっているところである。
 今後も、児童生徒の課題に対応した授業改善を進めるとともに、児童生徒自身がなぜ学ぶのかという意義を、しっかりと自分の夢や目標、将来像と結びつけて認識をし、その実現に向けて努力しようとする態度を培っていくことが、その基盤になるので、そうしたことを通じて確かな学力の育成を図っていく。
質問者:中野郁吾
時間が来たので、質問を終わる。ありがとうございました。