6.総括審査
➀関西広域連合の地方分権に向けた取組と姿勢について
質問者:中野郁吾
決算特別委員会、連日、各部局審査も行われてきて、大体4番バッターがうちの会派の関口委員であり、委員長からも不動の4番と言って示されるほどだったが、本日は私が4番ということと今決算委員会、トリということで大変光栄ではあるとともに緊張するが、しっかりと質問を行っていきたいと思う。
 まず、1点目の質問である。
 関西広域連合の地方分権に向けた取組と姿勢についてである。
 関西から新時代をつくるというフレーズのもと、平成22年12月に関西の2府5県が一堂に会し関西広域連合が結成され、間もなく7年になる。
 そして、平成24年に、大阪市、堺市、京都市、神戸市の4政令市が、平成27年12月には奈良県が加入し、関西が一丸となって取り組む体制ができた。
 設立の趣旨は、中央集権体制と東京一極集中を打破し、関西広域連合が関西全体の広域行政を担う責任主体及び国の出先機関の事務の受け皿となり、分権型社会を実現することにより、関西が全国に先駆けて地方分権の突破口を開くことである。
 これまで、国の出先機関から事務移譲を受けることを念頭に置きながら実施事務として、広域防災、広域観光・文化・スポーツ振興、広域産業振興、広域医療、広域環境保全、資格試験・免許等、広域職員研修の7分野の事業に取り組んできた。
 また、関西への政府関係機関の移転の取組については、文化庁の京都府への移転、総務省統計局の和歌山県への一部移転の方針が示され、消費者庁の徳島県への移転に向けた試行も行われており、また、国の関係機関の立地が京都、大阪、神戸などを含めて幾つかの機関が決まっていることから、全国と比べ一定の成果が上がっている状況ではある。
 しかしながら、本県が求める観光庁の移転や、大阪府が求める中小企業庁や特許庁の移転は実現せず、さらに国の出先機関の丸ごと移管の実現には、国の地方分権への鈍さによる分厚い壁を突き破れずにいる。
 このように、国からの事務・権限の移譲等が進まない中、関西広域連合の役割や執行体制を含めた広域行政のあり方や今後の広域連合の目指すべき方向性の検討を進める広域行政のあり方検討会を今年9月に設置し、これまで2回にわたり協議されてきたところである。
 そこで、兵庫県知事として5期目を迎えられた井戸知事は、関西広域連合設立当初から連合長としても取り組まれてきたが、これまでの地方分権に向けた取組の評価と、これまでの「広域行政のあり方検討会」の協議結果を踏まえ、今後、どのような姿勢で取り組もうとされているのか、お伺いする。
答弁者:井戸知事
関西広域連合は、ご指摘いただいたように、関西の広域行政の責任主体として、これを担う。国の事務・権限の受け皿となる、これらを通して関西が全国に先駆けて地方分権の突破口を開くことを目的に、平成24年12月に設立した。したがって、現在、7年目に入っているということである。
 地方分権については、設立以来、国出先機関の丸ごと移管の実現を図ろうと、関西一丸となり国に対して掛け合ってきた。法案の閣議決定までこぎつけたのであるが、解散で頓挫したのは残念である。
 しかし、地方分権改革に関する現在の提案募集制度においても、広域連合にふさわしい大ぐくりの事務・権限の移譲を粘り強く提案している。例えば、都市計画の事務について府県をまたぐような都市計画決定の権限を広域連合に移譲したらどうかという提言である。
 また、政府関係機関の移転に当たっても、具体的に動きが出たのは、広域連合の参加の府県だけであり、京都府、徳島県、和歌山県がその対象になった。そのような意味で、関西広域連合としても、バックアップをすることにより大きな成果を上げたともいえると思っている。
 今回の第3次の広域計画でも、国土の双眼構造の実現ということを大きな目標に掲げているし、有識者懇話会から提言を受けた防災庁の創設についても働き掛けをしている。
 関西広域連合としては、このような積極的な動きを示しているのであるが、国の対応は地方分権を抜本的に進めていこうとされている気配がない。このような状況のもとであるので、これからの関西広域連合のあり方ということを、この時点で検討しておくことが必要なのではないか、そして原点に返って国と地方の役割分担や今後の広域連合の方向性を、この時点だからこそ検討したいということで、広域行政のあり方検討会を設置したのである。
 これまでの意見交換では、府県を越える広域団体が設立されるとしても、都道府県という枠組みが必要なのではないか、カウンターパート方式による被災地支援のような政策遂行に当たって府県と市町村が連携する仕組み、これを検討すべきではないか、あるいはフランスのような多層性の統治機構ということも俎上に上げてみる必要があるのではないかという意見が出されている。
 今後、こうした検討会での議論を踏まえながら、関西の力が結集できる広域行政のあり方を探っていきたいと考えているのである。
質問者:中野郁吾
地方分権、国がなかなか真剣になって取り組まないという中で、今の答弁の中で防災庁のことが言われており、全国知事会のホームページの中で「知事は語る」というところで、今月、井戸知事のコメントが載っており、双眼構造ということで首都機能のバックアップを図っていくのに防災庁の創設が必要だということをおっしゃられており、その必要性について国民に訴えて防災庁創設の機運を盛り上げていきたいということと、あと関西広域連合の議会で地方分権が進まないことに関して、国の姿勢を指摘した上で、その分権の必要性を国民世論に訴えていくということをおっしゃったが、その国民世論に訴えていくという部分で、国民の皆さんは、なかなか分権に関しての関心が高まってないのではないかという気もする、その部分がまだ弱いのではないかという気がするが、今後、そのあたり、国民世論に対してどのように取り組まれるのかということをお聞かせいただきたい。
答弁者:井戸知事
憲法改正論議は、今回の衆議院の総選挙でも一つのテーマになっているが、何も9条だけが憲法改正の論議の焦点ではなく、我々としては地方自治の第8章のあり方を問うべきではないかということを強く主張している。
 特に、地方自治の本旨に基づき法律でこれを定めるとしか書いてなく、地方自治体の運営等についての基本原則、団体自治だとか、住民自治だとか、財政自主権だとか、条例制定権だとか、地方自治の根幹にわたるような規定を憲法に規定すべきだということを議論の対象にしていただくような働き掛け、あるいは我々の改正案を示していくという働き掛けは、地方分権を推進するという意味で国民的な関心を呼び起こす大きな一つの手段になり得るのではないか、そのような意味も込めて憲法改正論議には積極的に地方分権を推進するという立場から参加をしていきたいと考えている。
質問者:中野郁吾
憲法の8章の部分で、地方自治に関することということで、我々も地方分権、積極的に進めていくべきだということで、憲法改正、大いに賛同するところであるので、更に議論が深まるような発信も含め、よろしくお願いする。では、次の質問に移る。