5.県土整備部についての審査
➀老朽化マンションの建て替えについて
質問者:中野郁吾
質問の持ち時間が限られてきたので、早速質問に入っていく。
 一つ目、老朽化マンションの建て替えについてである。
 県では、橋梁やトンネル等の道路設備の老朽化に対応するために、ひょうごインフラ・メンテナンス10箇年計画に基づき、計画的かつ効率的に老朽化対策を進めている。そういった社会インフラは、行政の取組において財政面等の課題はあるが、優先度合いにより順に対策が進められている。また、県営住宅についても順次建て替えが進められている。
 一方で、マンションが建てられ始めて50年がたつと言われており、建設後多くの歳月を経たマンションは、適切な維持管理や修繕がなされていなければ、構造上の安全性の低下や居住環境の悪化だけでなく、周辺の住環境や都市環境の悪化といったさまざまな問題を引き起こす可能性がある。また、今後そのような老朽化マンションが急増するような状況にある。
 しかし、その老朽化マンションは、建て替えにはさまざまな高いハードルを越える必要がある。まず、持ち家やオフィスビル等のように所有者が単一の主体であれば建て替え等にスムーズな判断ができるが、多くの所有者が一つの建物を区分所有するマンションは、価値観や経済状態が異なる所有者が集まって暮らしており、大規模な建て替え等の合意形成を図ることが困難な場合が多いようである。
 また、築後長年を経過したマンションでは、居住者が高齢化し、役員のなり手が不足しているという管理組合が増加していたり、所有者が賃貸契約により貸し出したりしており、管理組合の運営も難しいようなケースがあり、合意形成に向けた総会の開催も困難であるようである。また、それぞれの経済状況の違い等もあり、総会で建て替えの決議を諮ったとしても5分の4以上の賛成を得なければならないなど、進まない要因が多くある。
 そこで、急増する老朽化マンション建て替えへの円滑化へ向けた本県の取組や、今後の県内の老朽化マンションの件数等の動向について伺う。
答弁者:住宅政策課長
県の平成26年度の調査においては、築後30年を経過した高経年マンションが県内には約10万戸存在しており、10年後には約20万戸になると見込まれる。それらは老朽化の進展などにより建て替えなどが必要となる一方で、多様な価値観や年齢層の所有者、利用形態の混在などによる合意形成が困難な状況もあると認識している。
 こうした状況に対し、県では、引き続きマンションストックの実態把握に努めるとともに、住まいサポートセンターにおいて、マンション建て替えなどに関する情報提供や相談対応を行うほか、市町などが開催するマンション管理セミナーへの講師派遣などを実施していく。
 また、個別の建て替え計画の立案などに対しては、法改正による新たな建て替え制度や補助金活用も踏まえた具体的な検討を進めていただくために、管理組合へマンションアドバイザーを派遣していく。
 マンションは私有財産の集合体であり、その建て替えは管理組合や区分所有者の自助努力で行うことを基本としつつも、県としても市町や建築の専門家などと連携しながら建て替えの円滑化に取り組んでいく。
質問者:中野郁吾
相談対応や講師の派遣、マンションアドバイザーの派遣をしているということで、今後急増する中で、都市部の資産価値のあるところでは進みやすいような状況はあると思うが、それ以外のところだと大きな課題がまだまだあると思うので、しっかりと取組をお願いする。 続いての質問に移る。