4.公安委員会についての審査
➂自転車の事故防止とルールの啓発について
質問者:中野郁吾
続いて、自転車の事故防止とルールの啓発について質問する。
 私の地元の西宮市では、沿岸部は平らな地形から自転車利用者がとても多い町の一つでもある。しかし、信号無視や歩道通行等の無謀な運転をする利用者もあり、自転車の交通事故防止を図るには、自転車利用者に対するルール等の周知が重要と考える。
 平成28年中の県内の自転車の交通事故発生件数は、5,945件であり、本年8月末現在では、4,118件と昨年と比べ、226件増加している。
 自転車は、運転免許証が必要ないことから、幼稚園児から高齢者まで、老若男女を問わず、運転することができ、近隣への移動手段として、利便性かつ有用性の高い乗り物であるから、自転車利用者は多く、自転車は車両であるという認識や自転車の交通ルール・マナーを高めて、自転車事故防止の施策を一層行っていく必要があると考える。
 自転車の乗車方法についても、幼児を乗せて運転する場合は、16歳以上の運転者は、幼児用座席を設けた自転車に6歳未満の幼児1人を乗せることができ、更に運転者は幼児1人を子守バンド等で背負って運転ができることや通行方法等についても、例えば、一時停止標識がある場所においては、自転車でも一時停止しなければならないなどの法規がある。
 しかし、自転車が道路交通法上「車両」に当たり、自転車の乗車方法や道路を走行する方法についても規定があるなど、交通法規やルールを細かく知っている利用者は、ごくわずかであると思う。
 現在、自転車の運転に関しては、運転免許証制度が導入されていないため、法規を学ぶ機会がないのが現状である。
 自転車の交通事故防止を図るには、自転車利用者に対して交通法規、ルール、マナーをいかにして啓発するかが重要であると考える。
 そこで、自転車の交通事故防止に向けた取組状況と、自転車の交通法規、ルール、マナー啓発についてどのように考えているのか、当局の所見を伺う。
答弁者:警察本部長
自転車が関係する交通事故件数については、近年、減少傾向で推移していたが、本年8月末現在の数字では、前年に比べやや増加という残念な結果になっている。
 自転車乗用中の死傷者のうち、自転車側の約9割には何らかの法令違反があったというような現状である。
 自転車には運転免許制度がないこともあり、利用者が交通安全教育を受ける機会は、必ずしも多くないことから、法規やルールが必ずしも浸透していないと考えられる。県警察では、まず「自転車は車両である」という認識を浸透させることが重要であると考えている。
 そこで、街頭キャンペーン等による広報啓発活動や、「自転車安全利用五則」の普及啓発、自転車シミュレーターを活用した参加・体験・実践型の交通安全教育など、あらゆる活動の機会を捉えて、自転車の安全利用に関する交通ルール、マナーの周知に努めている。
 具体的には、委員から指摘のあった、幼児を乗せて運転する場合の交通ル一ルの周知なども含めて、本年8月末までに、約2,200回、総計約23万人の自転車利用者に対する交通安全教育を行っている。
 また、自転車の交通違反に対しては、指導警告を基本としているが、悪質・危険な行為については検挙措置を講じており、本年8月末の数字では、全国で最も多い2,490件を検挙している。
 さらに、危険な行為を繰り返し行って検挙された者に対しては、自らの行動がいかに危険であるかを気づかせて、改善を促すための自転車運転者講習制度を運用している。本年8月末までに、全国で3番目に多い22人が受講している。
 県警察としては、今後とも、自転車の安全利用に関する啓発と指導取締りを両輪とした取組を継続的に粘り強く行い、自転車の事故防止と安全利用の促進を図っていく。
質問者:中野郁吾
自転車事故の9割に何らかの法令違反が見受けられるという点については、私自身も地元でよく見る光景として、例えば、子どもがランドセルを背負ったまま幼児座席に乗せて走行するなど、子どもを乗せて運転する保護者の中には、普段何気なくしている行為がルール違反であることを恐らく知らないことが多々あると思う。ルール違反だということに多分気づいていないので、先ほど、悪質かつ危険な行為の検挙数が全国トップであるとの説明があったが、命と安全を守ることにつながるので、今後もしっかりと周知や注意喚起を進めてもらいたい。