3.健康福祉部の審査について
➀障害者の就労支援の強化について
(2)障害者の工賃向上について
質問者:中野郁吾
2点目は、障害者の工賃向上についてである。
 働きたいと考えている障害者に対する就労支援の強化を図るため、平成18年度に施行された障害者自立支援法において、一般企業等での就労が困難な方に働く場を提供するとともに、働くために必要な知識及び能力の向上に資する訓練を行う障害福祉サービスとして就労継続支援等が設けられた。
 また、国において就労継続B型事業所で働く障害者の工賃水準の引き上げ等のために都道府県が策定する「工賃倍増5か年計画」の推進支援のため、工賃倍増計画支援事業が創設された。
 これらを受け、本県では、平成19年度から平成23年度までの5年間で平均工賃の倍増を目指す工賃倍増5か年計画を平成20年3月に策定した。その後、平成24年度から平成26年度までの「第1次兵庫県工賃向上計画」を策定し、これに基づき、目標工賃の達成に向けて取り組んだ結果、策定前の平成23年度の平均工賃月額1万1,868円(全国39位)から平成26年度には1万3,608円へと一定向上が図られたものの、目標の1万5,000円には及ばず、依然として全国平均と比べると低い水準である。
 そして、現在、平成27年度から平成29年度までの「第2次兵庫県工賃向上計画」が策定されており、更なる工賃の向上を図るための取組がなされている。その計画の目標としては、平成28年度の平均工賃が1万6,000円で、実績は暫定値で1万4,000円とのことであるが、その目標達成に向けどのような取組を行ってきたのかお伺いする。
 また、平成29年度の目標平均工賃は1万6,500円との乖離がある中、更なる工賃向上のためには、企業と事業者等との連携強化が有効と考えるが、今後どのような支援や働き掛けを行っていくのかお伺いする。
答弁者:障害者支援課長
工賃向上計画の目標に向けて、県はもとより市町や企業に対する優先発注の拡大の要請、商品の技術力の向上や製造商品の高度化、さらには、販売力強化による販路拡大等を総合的に進めているところである。
 具体的には、優先発注については、調達方針に基づく企業等への協力依頼、技術力の向上については、新商品の開発や商品製造技術の底上げをサポートする技術向上指導員の配置、販売力の強化については、企業の受発注相談を行う「しごと開拓員」の配置やインターネットや放送媒体を活用した販売拡大等を行っている。
 また、企業と障害福祉サービス事業所の連携強化については、これまで「兵庫ブランド商品」の開発に取り組んできた。これは、地元企業等との連携協力のもとに付加価値の高い良質な商品づくりを進めようとするものである。これまで酒造メーカーの剣菱等とのコラボレーションによる「ジャパニーズサケケーキ」を開発・発売した。また、菓子協会会長の指導による「有馬温泉炭酸煎餅サブレ」や「城崎温泉ライスサブレ」を開発・販売した。本年6月に発売した有馬温泉炭酸煎餅サブレは、月間1,000個を販売し、有馬温泉の新たな名産品になりつつある。
 また、大規模小売店の協力も欠かせないものと考えている。イオンの店舗において、定期的に障害者福祉サービス事業所が作った商品を販売するなど、販路拡大にも取り組んでいる。
 今後、これらの取組の充実に加え、清掃業、ビルメンテナンス業、観光業や農業など、人手不足、担い手不足で苦慮している分野への障害福祉サービス事業所の参入を促進していく。今、申し上げたビルメンテナンス業、清掃業については、比較的工賃が高い傾向にある。工賃向上とともに、障害者が地域社会の支え手となるような多様な事業展開を考えている。
質問者:中野郁吾
仕事の増加、技術の向上がないと、工賃の向上につながってこない。急には難しいと思うが、自立した生活に向け、取り組んでいかなければならない。
 また、先ほど松本委員から観光の面でユニバーサルツーリズムということがあったが、働くことに関しても、観光や農業など、部局横断的に連携して取り組んでいただきたい。