8.県土整備部ついての審査
➀ 立地適正化計画について
質問者:中野郁吾
立地適正化計画についてである。
 人口減少・高齢化が進む中、既成の市街地等においては、安心できる健康で快適な生活環境を実現するとともに、持続可能な都市経営を可能とするため、医療・福祉施設、商業施設や住居等がまとまって立地するとともに、公共交通によりこれらの生活利便施設にアクセスできるなど、福祉や交通等も含めて都市全体の構造を見直し、「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」を推進するため、立地適正化計画制度が創設されている。
 一方、中山間地域等においても、人口減少に伴い、医療、福祉、教育、買い物、交通など、住民の生活に必要な生活サービス機能の維持に支障が生じるため、基幹となる集落に機能・サービスを集約化し、周辺集落とネットワーク化させる「小さな拠点」の形成も推進されている。
 「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」では、このようなコンパクトシティや小さな拠点の形成を推進していくこととされている。
 こうした中、本県の都市計画において、このような都市機能の中心拠点や生活拠点への集約化の推進に関する考え方をお伺いするとともに、市町の都市計画マスタープランの高度化版となる立地適正化計画の作成について、小規模な市町ではマンパワーやノウハウ等の面から、その取組が困難なところがあると思われるが、県としてどのように支援をしていくのか伺う。
答弁者:都市計画課長
本県の人口は、平成52年には現在より約84万人少ない約467万人に減少するなど、人口減少・高齢化が見込まれる中、持続可能な生活圏の確保のための都市構造が必要と認識している。
 このため、県が定めた都市計画区域マスタープランでは、単に都市機能の大都市部への一極集中ではなく、大都市、地方都市、中山間地等が相互連携し、隣接都市間を交通ネットワークで結び、地域全体で多様な都市機能を確保する「地域連携型都市構造化」を目指すこととしている。具体的には、既に都市機能が集積する市街地では、都市機能の更新・充実等を図り、また、市街地以外では、一定程度の医療・福祉、商業等のサービスが日常生活圏内で受けられる都市構造を構築し、地域のにぎわいを維持していくものとしている。
 また、現在、県内では、10市町で立地適正化計画の検討が行われ、今年度末に、尼崎市ほか3市町で計画公表が見込まれている。
 ご指摘のとおり、マンパワーやノウハウ等の面から計画作成が困難な市町もあり、県では、説明会の実施や作成についての具体的なアドバイスや技術的支援等を行っている。
 今後とも、市町に対し更なる情報提供や技術的支援を行っていきたいと考えている。
質問者:中野郁吾
立地適正化計画は、市町をまたぐようなケースもあるということであるし、県の関与は大事だと思う。また、立地適正化計画に基づいて、地方創生関連交付金と交付税措置のある起債ができるということである。例えば、大阪の阪南市では財政節減を理由にして、立地適正化計画を使い、市内にある公立4園と保育所3所、築38年から50年の施設を集約して、600人規模の認定こども園を整備しようと計画したとのことである。しかし、昨年の市長選挙でその計画の是非が問われ、推し進めようとした現職市長が敗れる結果となった。その後、計画に賛同していた教育長をはじめ教育委員が全員辞められた。このケースでは、教育の空転を招いていると言える。このような事態にならないよう、県としては住民の納得を得られる計画の進め方について、アドバイス等をしていただきたい。