6.公安委員会についての審査
➂警察官のストレスについて
質問者:中野郁吾
最後の質問である。先ほど竹内委員からは装備資機材についての話があったが、次は警察官のストレスに対してである。
 先月来、京都府下の病院において、実刑が確定した暴力団組長に対し、医師が虚偽の診断書を作成したというニュースが大きく流れているが、その報道の中で、警察OBの人物が指定暴力団の幹部を病院側に引き合わせていたとの内容があった。
 本件は、まだ捜査中であり、実態解明は今後の話になると思うが、もしこれが事実であるならば、警察に治安の維持を付託している国民だけでなく、日々、体を張って凶悪な暴力団に立ち向かう全国の警察官に対する裏切り行為でもある。
 特に懸念するのが、暴力団対策に取り組んでいる現場警察官への影響である。
 本県においては、六代目山口組と神戸山口組という、2つの全国的な暴力団組織の本部があり、両者の抗争が激化して以降、暴力団事務所の近くでは、日夜、地域の安全を守る警察官の姿を目にする。
 また、街頭での勤務以外にも、暴力団の壊滅に向けて、地道な情報収集や捜査に従事したり、暴力団排除活動を力強く支援する警察官がいる。
 多くの県民は、その勤務に対して、感謝の念を抱いていると思うが、警察官が、暴力団員と癒着したという疑惑が大々的に報道されると、それだけで警察の活動にとって大きな痛手となってしまうのではないかと考える。
 一般の犯罪者と違って、暴力団は組織で犯罪を敢行する集団であり、過去にも大阪や福岡で拳銃等の武器が大量に発見されるなど、武装も進んでいる。
 たとえ訓練された警察官といえども、そのような相手に対峙すると、常に緊張感にさらされ、高いストレスを感じると推察する。
 また、警察官の不祥事が報じられると、それが他府県での出来事であったとしても、現場の警察官が県民から非難を受け、活動が非常にしにくくなるとも聞く。
 今回のような報道があれば、全く事案に関係のない本県の捜査員に対しても、県民から疑惑の目が向けられてしまい、活動が円滑に進まず、さらに勤務で受けるストレスが募ってしまうのではないかと懸念している。
 県警察では、暴力団の警戒に従事する警察官のため、新たに性能の高い防弾衣を導入すると聞いたが、警察官の身体はもちろん、精神的なケアも併せて行う必要がある。
 そこで、暴力団対策に携わる警察官のストレス軽減に向けて、県警察としてどのように取り組んでいくのか伺う。
答弁者:刑事部参事官兼組織犯罪対策局長
本県警察においては、暴力団を弱体化及び壊滅すべく従来から暴力団対策に取り組んでいるが、一昨年の神戸山口組分裂以降、対立抗争を防圧し、県民生活の安全確保に万全を期すため、暴力団事務所に対する視察や警戒を含めた暴力団対策をさらに強化している。
 暴力団は一般の法秩序を逸脱した行動原理にのっとり、さまざまな不法又は不当な活動を行っており、銃器を用いた対立抗争事件を引き起こしたり、意に沿わない事業所を対象とした襲撃事件を敢行するなど、自らの目的を遂げるためには手段を選ばない凶悪性も見られ、暴力団対策に従事する警察官には、暴力団のこういった威力に屈しない極めて強靭な精神力が求められる。
 事件捜査等の過程において、警察官が暴力団員と接触することもあるが、その活動は、兵庫県警察という組織として行っているものであり、反社会性の高い暴力団と対峙する警察官を孤立させることがないよう個々の活動においても組織的な判断と対応を徹底している。
 また、夜を徹して暴力団事務所の警戒を行う場合においても、暴力団対策の特殊性から、これに従事する職員には負担が生じているが、その負担が過度のものとならないよう、勤務実態の管理や精神的な面も含めた健康状態の把握、また、医師などによる健康相談、ストレスチェックツールの活用、部外を含めた相談窓口の周知徹底を図っている。
 今後も、個々の職員がその能力を最大限に生かせる職場環境を醸成し、本年の業務重点のトップに掲げている暴力団の壊滅に向けて、本県警察の総合力が発揮できるよう努めていく。
質問者:中野郁吾
最前線で暴力団対策に取り組んでおり、本当に高いストレスがあると思う。
 ケアをしっかりとしていることと、組織で団結して立ち向かっていくという強い決意も聞くことができたので、無事に職務に取り組んで、さらに対策が進むことを願って、私の質問を終わる。ありがとうございました。