1.平成29年度の財政状況についての審査
➀地方財政計画について
質問者:中野郁吾
まず、1つ目、地方財政計画についてである。
 国は、平成29年度予算編成方針の基本方針において、経済・財政再生計画の2年目に当たり、歳出改革等を着実に実行することとしている。同計画では、地方財政に対しては、地方一般財源総額を平成30年度まで実質的に平成27年度と同水準に据え置くとともに、国の取組と基調を合わせた見直しを求めるとしている。
 来年度の地方財政計画の歳出としては、まち・ひと・しごと創生事業費が引き続き1兆円、保育士や介護人材の処遇改善など一億総活躍社会関連施策の必要経費の地方負担分が約1,000億円、また投資的経費として緊急防災・減災事業費の拡充・延長が引き続き5,000億円、公共施設等適正管理推進事業費が1,500億円増額の3,500億円などがあり、歳出特別枠は平時モードへの切り替えを進めるために、2,500億円減額の1,950億円などとなっている。
 地方財政のあり方が、一層国の地方財政対策に引きずられているように思う。また平時モードへの切り替えを進めるために、歳出特別枠の削減などがある中で、本県として国の動向に合わせながら、財政的に有利な交付税措置を受けられるようなものの活用を図っていると思うが、社会保障関係費の自然増や国の制度に左右されるような厳しい状況のもとで予算編成においての工夫や取組をお伺いする。
答弁者:財政課長
地方財政計画についてのお尋ねである。
 平成29年度の地方財政計画は、歳入においては、地方税は増収が見込まれるものの、道府県税では減収となっており、道府県としては厳しい年度になっている。地方交付税については減額となっており、地方交付税交付団体べ一スの一般財源総額は60兆2,703億円と411億円の増にとどまっている。
 歳出であるが、社会保障関係費や地方創生、また、一億総活躍社会の実現などに要する経費は措置されているが、歳出特別枠など地方単独事業費が縮減されている。したがって、平成29年度当初予算は、大変厳しい状況にあったということである。
 こうした厳しい財政環境下にあっても、地域創生を軌道に乗せ、本格化させるための予算を編成するに当たって、最終2カ年行革プラン案に基づき着実に改革に取り組むとともに、事業の選択と集中の徹底や市町との連携・協調の推進を図りながら、国の政策動向等を的確に反映することなどに意を用いた。
 特に、地方財政計画や国制度の動向を十分注視し、国の有利な財源を積極的に活用することに努めた。
 具体的には、国の地方創生推進交付金の積極的な活用、これは前年度比で8億円の増、平成29年度当初予算は13億円計上している。
 それから、平成32年度まで制度延長された緊急防災・減災事業債は充当率が100%で、交付税措置70%、これを平成29年度は80億円、また、新たに措置をされた公共施設等適正管理推進事業債、これは充当率が90%、交付税措置が30%で平成29年当初予算で35億円を活用する。
 さらに、県単独で実施している認定こども園整備等促進事業など3事業について、平成29年度から新たに国庫補助制度が創設・拡充されたことから、国庫を最大限活用するということにしている。
 今後とも、厳しい財政環境にあるからこそ選択と集中を図りながら、国の有利な財源等を活用して、喫緊の課題に着実に取り組んでいきたいと考えている。引き続きの指導をよろしくお願いする。
質問者:中野郁吾
さまざまなメニューというか、交付金がある中で、工夫しながらやっておられるということである。一つ目の地方創生推進交付金を活用した地域創生を着実に進めていくということではあるが、今の現行制度は、やっぱり使い勝手が悪い制度で、交付率も確か2分の1と、地方の裁量としてはなかなかやりにくいところもあると思う。このような制限がある中で、しっかりと進めていってもらいたいと思う。また、国の財政制度審議会で、地方が保有する基金の残高だけを見て、余裕があるから、地方財政計画の歳出を見直すような議論もある。僕はその国の話にはちょっと違和感を感じている。とはいえ、制度として定められた以上、そこでやっていかないといけないので、引き続き知恵を出しながら取り組んでいただければと思う。