1.一般質問
③子育て施策の推進について
(1)シアタースタートの拡充について
質問者:中野郁吾
三つ目の項目は、子育て施策の推進についてですが、まずはシアタースタートの拡充について質問いたします。
 本県では、阪神・淡路大震災を機に、芸術文化が傷ついた人々の心をいやし、元気づけ、復興に向けた意欲を生み出す大きな原動力となるとともに、芸術文化が県民の暮らしに欠くことができない基本的な公共財産であることを強く再認識し、芸術文化センターや兵庫陶芸美術館、横尾忠則現代美術館などの芸術文化の拠点となる施設整備が進むとともに、芸術文化を担う人材の育成として、芸術家に発表、交流の機会を提供するひょうごアーティストサロンの設置や、青少年に本物の芸術文化の鑑賞機会を提供するわくわくオーケストラ教室、ピッコロわくわくステージなど、新たな事業が展開されています。
 実際、芸術文化振興ビジョンの改定に当たって、県民モニターアンケートを実施した結果、地域の文化的環境の充実に必要な事項として最も回答が多かったのは、子供が芸術文化を親しむ機会でした。子供の頃に優れた、本物の芸術や文化を五感で体感することで、想像力が刺激され、心の豊かさを育むきっかけになると思います。本県は先ほど挙げたわくわくオーケストラ教室やピッコロわくわくステージなど、芸術文化に子供が親しみ、体験できる機会があり、今後の展開に大いに期待しているところであります。
 さらに、0歳から3歳の子供たちが、1人の観客として、親と一緒に生まれて初めての本物の舞台と出会うための文化体験プログラムとして、県立尼崎青少年創造劇場--愛称ピッコロシアターで、シアタースタートという事業があり、先日、実際に私も子供を連れて鑑賞してまいりました。そのとき公演された「たったか たったか たったかた」はせりふによる対話劇ではなく、「たったか、たったか」や「かたんことん」といった擬態語や擬音語の繰り返しだけで展開する人形劇ですが、その音とリズムに合わせて、小さな人形が舞台でコミカルな動きを見せるたび、子供たちは食い入るように見入ったり、「きゃっ、きゃっ」とはしゃいだり、「わぁ」と声を上げて拍手をしたりして、楽しそうに見ており、親も一緒に声を上げ、親子ともに、まさに五感を刺激されているような様子でした。
 これは、子供が芸術文化に触れる大きな機会であるとともに、親も一緒に体験できることにより、今後、親子がともに芸術文化に関心や興味を持つ良いきっかっけになると考えます。そして、この取組は、平成25年5月に第1回が実施されたのですが、申し込みが殺到し、1日1回の予定だった公演を2回に増やしました。翌26年も完売、今年も完売したとのことです。また、現在、公演回数は年に1日2回だけで、しかも1度の公演で参加できるのは、親子含めて100人までと限られています。
 そこで、財政が厳しい中ではありますが、これだけ人気と需要がある取組であれば、芸術文化の裾野を拡げ、「芸術文化立県ひょうご」の実現に向けて、シアタースタートの公演回数を増やしたり、また、県内各地で出前公演を実施したりできないものか、さらには、そういった充実を図るための料金設定の見直しも含めて、当局のご所見をお伺いします。
答弁者:井戸知事
維新の党の中野郁吾議員の質問にお答えいたします。
子育て施策の推進についてです。
 シアタースタートの拡充についてのお尋ねがありました。
 子供の頃から良質な芸術文化に触れることは、豊かな感性や創造力を育むという点で重要なポイントです。しかし、乳幼児が楽しめる公演等が少ない、これは事実です。県立尼崎青少年創造劇場ピッコロシアターでは、先導的な取組として、ご指摘ありましたように、平成25年度から親子で楽しめるシアタースタートを実施しています。
 鑑賞した親子からは、「分かりやすく子供が楽しんでいた」、「乳幼児との外出は大変だけれども、来てよかった」との意見が寄せられるなど、毎年、好評を博しております。
 今後、ニーズや来場者アンケートの意見等も踏まえながら、公演回数や内容の充実について検討していきます。なお、料金は公演の趣旨や内容を勘案して、親子で参加しやすい設定になっていると承知しております。更に必要ならば検討を加えます。
 また、シアタースタートは、乳幼児連れの催しで、おのずと来館可能な地域が限られてきます。したがいまして、県内各地の身近な施設で実施されることが望ましいと考えます。
 この事業は、乳幼児を対象とした活動を専門的に行っている外部の公演者を招いての公演でありますので、ピッコロシアターでの取組やノウハウを提供することにより、このような取組を県内の他の施設でも行ってもらうように広げていきたいと考えます。
 このほか、子供が舞台芸術を楽しむ機会として、ピッコロシアターが運営するピッコロ劇団が小学校に出向くピッコロおでかけステージや、中学生をシアターに招いて行うピッコロわくわくステージなど、各年代に応じた事業を展開しています。
 今後とも、子供から高齢者まで、誰もが芸術文化に親しむ機会の拡充に取り組み、「芸術文化立県ひょうご」に恥じない取組を続けさせていただきます。