1.一般質問
①緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化について
質問者:中野郁吾
維新の党の中野郁吾でございます。早速ですが、通告に基づき、一括方式にて、5項目7問質問いたします。
 まず、一つ目の質問ですが、緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化について質問いたします。
 阪神・淡路大震災発生から20年が過ぎました。被災直後からの被災者同士の助け合いや、被災地内外からの温かいさまざまな支援、貝原前知事、井戸知事をはじめ県職員や県警の方々が一丸となって復旧・復興に取り組まれた結果、創造的復興をなし遂げることができました。
 また、その教訓をもとに学校や警察署などの公共施設の耐震化や、住宅の耐震化への補助などにも取り組み、安全・安心な社会基盤づくりにも取り組んでこられました。
 国内外で、その取組が高く評価されている創造的復興ですが、一方では課題も残されているのが事実です。阪神・淡路大震災発生直後、激しい揺れで建物が倒壊したことにより、道路が塞がれ、消防車や救急車などの緊急用車両の現場到着が遅れてしまいました。それを回避することができれば、もっと多くの尊い命を救えたのではないかと、非常に歯がゆい思いと大きな後悔をしました。
 そういった反省を踏まえ、平成7年に国において、耐震改修促進法が制定されました。同法は、一昨年の11月に改正され、その中で、不特定多数の人が利用する大規模な病院や旅館、店舗や体育館、そして避難確保上特に配慮を要する人が利用する大規模な老人ホームや小中学校、幼稚園などのほか、一定量以上の危険物を取り扱う大規模な貯蔵場は、耐震診断の実施とその結果の報告を義務づけ、所管の行政庁が結果の公表を行うようになりました。報告の期限は、今年の12月31日までとなっています。
 また、都道府県や市町が高速道路や国道等を震災時の緊急用ルートとして指定することが可能になり、沿道にある昭和56年以前に建築された高さ6メートル以上、かつ道路を閉鎖するおそれのある建物の所有者には、耐震診断を義務づけ、都道府県や市町が診断結果の報告期限を定めることができます。しかし、今年の4月の時点で緊急用ルートとなる道路や耐震診断の報告期限を指定したのは7都府県と、山梨県と長野県の一部市町村にとどまっています。
 震災を経験した本県でさえも、この義務化は進んでおりません。あのときの「救えたかもしれない」という歯がゆい思いと、大きな後悔を繰り返さないためにも、南海トラフ地震等の大震災への備えとして、一刻も早く緊急用ルートを指定し、沿道の建築物の耐震診断を義務づけるとともに、更に耐震化も進める必要があると思われます。
 そこで、大規模多数利用建築物等の診断結果の報告期限が迫る中、財政状況が厳しい本県において、これをどのように進めていくのか、当局のご所見をお伺いします。
答弁者:まちづくり部長
緊急輸送道路沿道の建築物の耐震化について、お答えします。
 災害時における緊急輸送道路の通行確保は重要であると認識しており、県では、平成23年度から県地域防災計画に定める緊急輸送道路の沿道建築物の耐震診断、設計、改修工事に対する支援を実施しております。これは所有者の意向で耐震化を行う場合に、県市が協調して補助するもので、延べ8棟の実績があります。
 平成25年11月に改正耐震改修促進法が施行され、緊急輸送道路の沿道建築物など耐震化を進めるため、地方公共団体が耐震改修促進計画において、耐震診断を一律に義務づける道路、又は耐震診断を必要に応じて指示できる道路を指定できることとなりました。これに伴い、本県も、本年3月に県耐震改修促進計画を改定し、緊急輸送道路の全てを耐震診断を指示できる道路として指定いたしました。
 一方、耐震診断を義務づける道路として指定しますと、その沿道建築物は、高さにより一律に耐震診断が義務づけられることとなることから、県では、昨年度、主要な緊急輸送道路の沿道建築物の状況について調査いたしました。
 その結果、道路を閉塞するおそれのある建築物は約800棟存在いたしますが、その多くは迂回路の確保が比較的容易な神戸・阪神間や中播磨地域の市街地に存在し、たとえ当該道路が閉塞しても、迂回路を活用すれば緊急用車両の通行が確保されることが判明いたしました。
 今後、調査結果を精査し、耐震診断を義務づける道路の指定の必要性について検討をしてまいりますとともに、まずは人命に直結する住宅や、ホテル・旅館などの多数の者が利用する大規模な建築物の耐震化を支援してまいりたいと考えております。