6.公安委員会についての審査
①高齢者の交通事故防止対策について
(2)高齢運転者への対策について
質問者:中野郁吾
次に、高齢者が加害者になるという可能性があるということで、2つ目の項目として、高齢運転者への対策について伺う。
 高齢化が進み、高齢者の人口が増加する中、多くの高齢者が交通事故の被害者にも加害者にもなり得る事態となっている。高齢ドライバーがアクセルとブレーキを踏み間違えたり、高速道路を逆走して対向車を巻き込むといった事故のニュースもよく見聞きするようになった。全国で高速道路の逆走は毎年200件前後起きているが、昨年は人身事故が22件と過去最悪であり、逆走を起こした人の約7割は高齢者、中でも認知症、またはその疑いがあるケースが多かったとのことである。
 平成15年に約195万人だった75歳以上の免許保有者は、平成25年には約425万人と大きく増加し、今後、団塊の世代が加われば、更に増加することが推計されている。
 警察庁は、認知症のおそれがあると判断されたドライバーが実際に認知症に該当しているかを明らかにするために、臨時に専門医による診断等を行う旨を命ずることや、臨時の高齢者講習の実施等を盛り込んだ道路交通法改正試案を本年1月に提示するなど、高齢運転者への対策を強化する方向で議論が進められている。
 そこで、待ったなしの高齢運転者の交通事故防止に向け、県警としてどのように取り組まれようとされているのかをお伺いする。
答弁者:交通部長
委員ご指摘のとおり、兵庫県内においても高齢者の運転免許保有者が増加する中、昨年、高齢運転者が第1当事者となる交通事故は4,935件と過去最多を記録し、交通事故死者数も10年前と比較して1.7倍に増加した。また、高齢運転者が県内の高速道路を逆走する事案についても、昨年は5件を把握している。
 このような状況を受け、県警察では、高齢運転者に対するシルバー・ドライバーズ・スクールの開催や、映像を見ながら運転を疑似体験できるドライビングシミュレーターを活用した交通安全教室、関係機関・団体と連携した交通安全ワンポイント指導等を実施しているほか、交通事故捜査や交通指導取り締まり等の各種警察活動を通じて、臨時適性検査の対象となる危険性の高い運転者の早期発見にも努めている。
 また、自治体、企業、団体の協力を得て、高齢者運転免許自主返納サポート協議会を設置し、自主返納した高齢者を対象とした各種優遇制度の拡充にも取り組んだ結果、本年2月末の加盟数は、設立当初の約7倍に当たる18自治体、141企業・団体まで増加している。今後はこうした対策を更に充実させるため、関係機関、団体と緊密に連携し、各組織のネットワークを最大限に活用して、交通安全情報を発信するとともに、高齢者の方に加齢に伴う身体機能の変化を自覚していただく参加・体験・実践型の創意工夫を凝らした交通安全教育を強化していく。
 また、各種優遇措置が受けられる運転免許自主返納サポート制度を安全教育などのあらゆる機会を通じて周知し、高齢者自身が運転免許証を返納しやすい環境を醸成することにも努めていきたいと考えている。
質問者:中野郁吾
私の86歳の知り合いの方が毎回自ら運転されて会いにこられる。ふだんつえをついておられるけれども、運転には自信があるということなので、危ないからおやめになってくださいと私もなかなか言いづらいところがあるが、自主返納で優遇されるということを強くお伝えしていきたいなと思う。そうした活動をもって、我々もこういった高齢者の事故が減るように取り組んでいきたいと思うので、なお一層の対策をお願いする。では、私の質問を終わる。ありがとうございます。